熊本 阿蘇 宿泊 お客様の声| 熊本県南阿蘇にあるオーベルジュ「森のアトリエ」口コミ(クチコミ)の評価や評判 » Blog Archive » 第162回ディナーコンサート★夕べの讃歌 バロック~ヘンリー・パーセルの世界《17c英》『ダィドーとエネアス』より 今宵の物語【グループ『葦』】 & 連載:西洋音楽史と音楽家たち 第2回「 ビンゲンのヒルデガルト(1089-1179)

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162thコンサート表
162thコンサート裏
 
夕べの讃歌 An Evening Hymn バロック~ヘンリー・パーセルの世界《17c英》
2017年3月12日 (日) 開演18:00~  演奏:グループ『葦』
『ダィドーとエネアス』より 今宵の物語 from Henry Purcell ‘Dido & Aeneas’
 
プログラム
 
1. 【器楽】「ロンド」~劇付随音楽『アブデラザール、もしくはムーア人の復讐』より  
リコーダー二声、ヴィオラ・ダ・ガンバ二声、バロックギター、チェンバロ、太鼓
RONDEAU-from ‘Abdelazer or The Moor’s Revenge’ -2Rec,2Vdg,Brq-gt.Cem.Perc.
 
2. ベリンダのアリアと合唱「お顔から憂いの雲をお払い下さい」
Belinda “Shake the cloud from off your brow”
「悲しみを追い払え」
Chorus “Banish sorrow, banish care”
 
3.エネアス「私にはあなた以外の運命はない」
Aeneas ”Aeneas has no fate but you!”
合唱「キューピッドはただ矢を射るだけ」
Chorus “Cupid only throws the dart that dreadful to a warrior’s heart”
 
4.【器楽】「勝利のダンス」
“THE TRIUMPHING DANCE“
リコーダー二声、ヴィオラ・ダ・ガンバ二声、バロックギター、チェンバロ、太鼓
 
5.【器楽】魔女たちのプレリュード
PRELUDE for The Witches
 
6.【器楽】「ホーンパイプ」セミオペラ『妖精の女王』より
リコーダー二声、ヴィオラ・ダ・ガンバ二声、バロックギター、チェンバロ、太鼓
HORNPIPE in D minor from The fairy queen Z.629 -2Rec,2Vdg,Brq-gt.,Cem.Perc.
 
7.「ひとときの音楽」『オイディプス王』より 
テナーのソロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、テオルボ、チェンバロ
Music for a while Z 583 -Soli, Vdg, Thrb, Cem
 
8.【器楽】「ロンド」『妖精の女王』より 
リコーダー二声、ヴィオラ・ダ・ガンバ二声、テオルボ、チェンバロ
RONDEAU 2Rec,2Vdg, Thrb,Cem.
 
9.「夕べの讃歌」
歌、リコーダー二声、ヴィオラ・ダ・ガンバ二声、テオルボ、チェンバロ
An Evening Hymn, – Soli 2Rec,2Vdg, Thrb,Cem.
 
10.【器楽】 リトルネッロ~
狩りの女神ダイアナに捧げるベリンダのアリアと合唱「この静かな小川に感謝いたします」
Ritornello-Belinda & Cho. “Thanks to these lonesome vales”
侍女「ときおり女神はこの山、泉を訪れ」~【器楽】 リトルネッロ
Second Woman “Oft she visits this lone mountain” –Ritornello
 
11.マーキュリー(スピリト)「待つのだ 王子」
Mercury (Spirit)” Stay, Prince and hear great Jove’s command”
エネアス「神ジュピターの命令には背けぬ」
Aeneas ”Jove’s commands shall be obeyed”
 
12.【器楽】「シャコンヌ・グラウンドによるリコーダーのための二声のカノン」
~『予言者、またはダイオクリージャン』Z.627より 
リコーダー二声、ヴィオラ・ダ・ガンバ、テオルボ、チェンバロ
“CHACONNE Two in one upon a Ground”
from‘Prophetess or The History of Dioclesian -Act.3
2Rec, 2Vdg, Thrb, Cem.
 
13.前奏曲と水夫達の合唱「さあ行け仲間たち」
PRELUD -First Sailor &Cho.”Come away, fellow sailors”
 
14.魔法使い「さあ!ごらんあれ」
Sorcerer ”See, the flags and streamers curling”
 
15.【器楽】シャコンヌ イ短調『ゴルディアスの結び目』より
リコーダー二声、ヴィオラ・ダ・ガンバ二声、テオルボ、チェンバロ
CHACONNE in a–minor from “the Gordian‘s knot unyted” Z.597-2Rec.2Vdg.Thrb.Cem.
 
16. 【器楽】トバイアス・ヒューム 「ヒューム大佐のパヴァーヌ」
『エア集 第1巻 音楽の諧謔』(1605年)より 
ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソロ
TOBIAS HUME – CAPTAIN HUME’S PAVAN
from “The First Part of Ayres” or “Musical Humors”(1605)
Viola da gamba solo
 
17. 天使の合唱「偉大な心が己を欺いて」
Chorus “Great minds against themselves conspire”
 
 
グループ『葦』
村中美香 (歌) 安尾宣子 (歌、太鼓) 船方公子 (歌、太鼓)
栗林孝次 (歌、太鼓) 松本均 (歌) 船方浩司 (歌) 村中孝浩 (歌)
渡辺浩行 (リコーダー、フラウト・トラヴェルソ、バロックオーボエ)  繁本幹太郎 (リコーダー)
三原祥子 (テナー・ヴィオラ・ダ・ガンバ)  木村鐘靖 (バス・ヴィオラ・ダ・ガンバ)
中野博司 (テオルボ、バロック・ギター) 
右ノ子万里奈 (チェンバロ) 
 
1977年熊本で結成された古楽器アンサンブル。チェンバロ、リコーダー、コルネット、ヴィオラ・ダ・ガンバ、クルムホルン、数種類の打楽器などに独唱や重唱も加えてヨーロッパ中世、ルネッサンス、バロック期の作品を九州各地で演奏。これまでに多くの自主的な演奏会や古楽器に適した響きの良い音響の会場での音楽会(教会や美術館や歴史的建造物)他、九州各地で開催の音楽祭(湯布院音楽祭、小国古楽音楽祭、福岡古楽音楽祭等)に出演し好評を得た。また長崎市や大村市、西海市、大分市や熊本県天草市などで九州縁の天正遣欧少年使節に関するイヴェントや演奏会に関わりその活動がテレビ・ラジオ・新聞・音楽雑誌等で報道された。今年2016年8月に結成40周年を迎える。
 
 
 

連載:西洋音楽史と音楽家たち
第2回「ビンゲンのヒルデガルト(1098-1179)」

森のアトリエオーナー 宮本孝志
 

中世ヨーロッパ最大の賢女と言われるドイツの聖ヒルデガルトは、ライン・ヘッセン地方に貴族の娘として生まれ、後にベネディクト会の修道女、修道院長となりました。女性であるがゆえに正統的な学問は身に着けませんでしたが、幼児から神の啓示の幻視体験を持ち、「汝の見るもの,汝の聴くものを語れ」という啓示にしたがって、後に『道を知れ(スキヴィアス)』を初めとする神秘神学3部作の書物を著し、教皇や皇帝にも認められて預言者として知られるようになります。人生の後半はビンゲンの町の郊外にルーぺルツベルク修道院を開いて院長となり、神学,宇宙論,博物学,霊性,医学,薬草学、音楽などの広い範囲にわたる書物を残しました。
 

さて、今のクラシック音楽の源流となったのは、キリスト教会の典礼音楽であるグレゴリオ聖歌です。しかし、ヒルデガルトはその専門的な訓練はついぞ受けたことが無かったにもかかわらず、音域が広く教会旋法ではない独自の修道院典礼用音楽の作詞作曲を行いました。それは「天の啓示の調和のシンフォニア」と名付けられた77曲にのぼるまことに美しい単旋律聖歌であり,アンティフォナ(交唱聖歌)43曲,レスポンソリウム(応唱聖歌)18曲,セクエンティア(続唱)7曲,ヒムヌス(賛美歌)5曲,キリエ1曲で成り立っています。そして修道院の聖務日課として、天上の世界と一つになるために神の賛美の歌を歌ったのです。また、他に唯一、宗教的音楽劇『オルド・ヴィルトゥトゥム(神の諸力の劇)』を書きましたが、これは後のオラトリオやオペラの先駆けとでも言うべきものです。そしてこれらの曲はすべて、自らは単なる神の道具に過ぎないとして、幻視と啓示をもとに神の言葉として作られたもので、他に類のない宗教的創作物となっています。
 

さて、中世の教会音楽は、宇宙や天体は数理的な調和の法則によって成り立ち動いているとする古代ギリシャ哲学(ピタゴラス、プラトン、プトレマイオスなど)の考えを受け継いでいます。そして、音楽を1)耳には聞こえない宇宙の調和としての音楽、2)人間の魂と身体の調和としての音楽、3)耳に聞こえる楽器の音楽、以上の3種に分けました。そこで、教会ではこれら調和の法則とはすなわち神の創造の業であるとし、天上界における神と天使の調和の世界を思い、耳に聞こえる音楽はその見えざる法則を地上世界の人間に垣間見せるものであるとしたのです。そして音楽は、今の芸術音楽とは違い、この世の喜びをもたらすのではなく、あくまで天上の神の世界に至る道程としてのみ位置づけられていたのです。
 

ヒルデガルトはその考えをさらに推し進め、もともとアダムとイヴの原罪の前には、人は楽園にいて調和の世界の音楽を聞いていたが、堕罪した今では心身の不調和で病んでいる状態にある。しかし、心のうちに調和の音楽を覚えていて限りない憧れを持っており、音楽を奏で賛美の歌を歌う事によって天上界を思い出し、精神も体も癒され、神の世界に向かう事ができるとしたのです。
ヒルデガルトの音楽や著述などの活動や、癒しと救いの多彩な活動はすべて、こうした神の世界の調和が現わされているこの世界と、天上の神の世界とを、心や行いを正しくする事によって繋ぎ、神のもとにあるべき人の姿に戻ろうとする試みだったのです。
 

【来週のコンサート情報はこちら(草村健司(バリトン)による声楽のコンサート、近日プログラム公開)】
【コンサートについて&予約方法:森のアトリエ コンサートプログラム2017】

by atorie